『口説き文句は決めている』(夏生さえり)
社会人になってから、いや、大学生で1日に色んな種類の予定が入るようになったころから、エッセイをよく読むようになりました。
高校生くらいまでは、いや別にあんたの人生とか考えとか知らんし、とエッセイに変な拒否反応を持っていて、小説で作られたキャラクターの生き方や考えを知ることだけが読書の楽しみでした。
エッセイを楽しみ始めたのは、その小説の設定を覚えている余裕がなくなってから。
今回はタイトルに惹かれて読んだこれをご紹介。
- 作者: 夏生さえり
- 出版社/メーカー: クラーケン
- 発売日: 2017/08/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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妄想につぐ妄想。もうどこまで実体験なのかよく分からない…好きな人とご飯を食べに行ったことある人なら、同棲経験のある人ならなおさら、共感できる妄想が満載でした。
私が特に共感出来たのは「台所の時空」と「紅茶が好きな理由」のふたつ。
単調な動作で、包丁をトトトと動かしたり、火を止め、湯を捨て、皿にあげたり。手順があって、それらをひとつひとつこなした結果、きちんと何かが出来上がるというのは心の衛生に良い。
わたしは紅茶のことをあまり知らない。「紅茶のおいしいお店はね」などと語ることもできないし、特別上手に淹れられるわけでもない。
なのに、紅茶が好き。
いや、正しくいえば「紅茶を楽しめる心持ち」が好きなのだと思う。